筋トレ豆知識⑧

油圧式マシンってどうなの?

ケガが少ない、サーキットトレーニングができる、高齢者の介護予防などで使われる油圧式マシン。

注射器のシリンダーような作りをしており、

早く押し出そうとすると負荷が強くなり、

ゆっくりなら負荷が小さくても押せる

戻す時には引く運動もできるので、

押す時、引く時両方の運動ができる特徴があります。

「一度に押す筋肉と引く筋肉(裏表)を同時に鍛えることができる」「筋肉痛がない」

「筋トレと有酸素運動が同時にできる」

といわれ、ブームにもなりました。

この油圧式マシーンはトレーニングに取り入れた方が良いのでしょうか?

結論から言いますと

高齢者やリハビリ目的の人以外には、

あまりおすすめはしません

理由は

筋肉を成長させる刺激が減る

手を抜ける

有酸素と筋トレを同時にできてしまう?

ということです。

「ちょっと何いってるかわからない、、、」

ということで、一つ一つ説明を。

まず、筋肉が成長するための刺激には

「機械的刺激=メカニカルストレス」「化学的刺激=ケミカルストレス」があります。

機械的刺激は、筋肉に大きな負荷(張力)がかかった時に筋肉がごくごく小さな傷をうける様な刺激のことを言います。

(極細のゴムの束を引っ張るとそのうちのいくつかがブチブチ切れるイメージです。)

筋肉がちぢむ動作をコンセントリック収縮

伸びながら引っ張られている収縮をエキセントリック収縮と言いますが、

このエキセントリック収縮の時の方がコンセントリック収縮よりメカニカルストレスが強くなります。

アクセルよりブレーキの方が筋肥大にとっては負荷が大きく効果的という事です。

たとえば、登山も登りより下りの方が足に負担がかかり、筋肉痛がきやすいのも同じ現象です。

(私も登山をしていた時はそうでした。)

そして、油圧式マシーンにはこのエキセントリック収縮はありません。

なぜなら押した後、戻す時にブレーキをかけるために働く筋肉が、

引く動作に使われる別の部位によって、使われなくなってしまうからです。

一番おいしいエキセントリック収縮を、他の筋肉のコンセントリック収縮がよこどりするわけです)

続きまして、化学的刺激についてです。

これは英語でケミカルストレスといいます。

筋肉内の張力が維持されていると、酸素不足や血流障害、乳酸などの蓄積によって、筋肉内の環境が悪くなります。

これがきっかけとなり、成長ホルモンが分泌されて筋肉の修復や成長が促されたり、

インスリン様成長因子(IGF-1)が分泌され筋合成のスイッチが入り、筋肉の成長が促されるわけなんですね。

手足の付け根を圧迫する加圧トレーニングはあえて、

筋肉の血流を制限することで、このケミカルストレスを与え筋肥大を狙ったトレーニングです。

ゆっくり動作を行うスロートレーニングも同様の原理と考えられています。

筋肉がパンパンに張る「パンプアップ」は、乳酸などの代謝物がたまったものを、周囲から水を集めて薄めようとして起こる反応です。

パンプアップは頑張った筋肉が成長しようと喜んでいるんですね。

かの有名なアーノルド・シュワルツェネッガー氏は

「おしゃべりは後にしてくれ。パンプが冷めちまう」という名言を残しております。

(別の名言、「パンプアップは○○○○より気持ちいい」はふせておきます。)

話しがそれましたが、

筋肉は収縮することで血管が押しつぶされるようになり、

血流が制限されると筋肉内の環境が悪く(?)なります。

筋肉の成長を促すための化学的刺激を高めるためには

「力の入れっぱなし」が重要なのです。

先ほども言いましたが、油圧式マシーンでは、押す動作が終わった後、引く動作の筋肉が戻る動作の負荷を横取りするため、

押す筋肉の方は血流が改善され、化学的刺激がカットされちゃっているんですね。

次に「手を抜ける」です。

筋トレは「ぎりぎりできる重さで8~10回3セット」という方法が良く用いられます(目的にもよりますが)。

油圧式マシーンの構造は、注射器の様なシリンダーと同じで、

早く押すには強い力が必要ですが、ゆっくりやれば小さい力でも動いてしまいます。

頑張らなくてもできてしまう

極端にいえば、

「指先ひとつでダウン」することも可能です。

(そんな小さな力でも筋トレできてしまうなんて、you’re shockです。)

そして、筋トレと有酸素運動を同時にできてしまう?という点です。

「一石二鳥、時短でいいじゃん」

と思うかもしれませんが、

有酸素運動の様に持久的な運動は、筋トレによる筋肥大、筋力向上を邪魔してしまう効果があると言われています。

これについては、環境や条件に影響されるのですが、

筋肉発達制御因子が抑制される・ATPの利用速度が低下する・コルチゾールの増加・筋分解などなど

簡単に言うと「器用貧乏」(?)のような状態になるということです。

減量、ダイエットの時は上手に筋トレと有酸素運動を取り入れるとよいですが、タイミングを間違うと非効率となります。

私も、足トレの最後の追い込みとして、油圧式のレッグプレスを高回数行ってみたことがあります。(「背もたれ付きの椅子に座って、鉄の板を足で押すやつ」。)結果、面白いくらいパンプしませんでした。やった気にはなるんですけどね、、、

せめて出力を上げようと、力を入れたところ「バキッ」と音がして、そのまま背もたれの部分が後ろに倒れ、後頭部を強打した思い出があります。

後日、マシンの業者の方からお詫びとして、菓子折りをいただきました。

「なんかごめんなさい。そしてごちそうさまでした。」

と、いうわけで

筋肥大やボディメイクを行うため、質の高いトレーニングをしたい方には、

油圧式にこだわる理由は特にないかと思います。

油圧式でバキバキになった人と私は会ったことがありません。

(友達いないだけとかなしでお願いします。)

いろいろディスった(?)内容となってしまいましたが、

運動経験がないのでお試しトレーニング

みんなで楽しくトレーニングをするのが優先

日常生活を送れるレベルの筋持久力・介護予防

といった目的であれば油圧式マシーンにもメリットはあると思います。

マシーンを取り入れる側にもいろいろ事情がありますので、そこはまあそんな感じで、ごにょごにょごにょ、、、、、

そんなわけで、今回はこの辺で、ではでは。

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